導入事例紹介・トピックTopic

無線ICタグを用いた
出荷作業の省力化

手間を省き作業ミスをなくす
直面する課題を解決し次のステージへ

 金型製作からプレス加工まで社内一貫体制の金属加工で電気部品を製造する宮本製作所。多品種少量生産にも柔軟に対応しており、県内外に顧客を持つ企業です。主力は大手電機メーカーから受注している車載バッテリー関連の銅製端子で1日およそ3万個を出荷しています。好調な事業に伴い、多種多様な製品の生産や出荷に関する管理業務の負担が増大しており、IoT導入による解決を模索。出荷作業の省力化を契機に、生産工程の見える化を含めたIoT導入に対する社員の意識醸成にもつなげたいと考えました。

課 題

  • 商品配送用の専用箱に貼り付けた紙帳票をひと箱ずつ目視で確認する出荷確認の負担が大きい。
  • 出荷確認ができる社員が限られており、欠勤や休暇時の対応が難しい。

効 果

  1. 1日60分かかっていた出荷確認作業を3分の1の20分に削減。
  2. 誰でも出荷確認を行えるようになった。
  3. IoTの効果を実感したことで社員の意識が変化。今後の導入計画を支える環境整備の足掛かりとなった。

好調な業績と共に大きくなった課題

 街路灯のLEDを取り付ける基盤やはかりの受皿といった身近なものから工場内設備や車載部品まで金属を加工し形も大きさもさまざまな電子部品を製造する宮本製作所。要望に応じて金型製作からプレス加工、仕上げまですべて社内で行っており、品質の高さと多品種少量生産にも柔軟に対応する実績から取引先は県内外に及びます。売上の中で大きなウエイトを占めるのが、大手電機製品から受注しているハイブリッド自動車のバッテリー部分に使用される銅製部品。年々受注数を増やし、現在は100種以上を製造。1カ月に70~80種、1日3万個を出荷しており、2019年春には専用の工場も新設しました。

 受注増加と共に増えたのが、出荷管理業務。製品によって配送箱が決まっており、その箱が宮本製作所とクライアントの間を行き来する形で納品を行うため、毎日箱に貼り付けた紙帳簿で出荷先や商品の種類、個数などを一つひとつ目視で確認していました。また、この作業にはある程度の製品知識が必要であるため限られた人しか担当することができず、欠勤が出た場合、担当業務を変更するなど急な対応を迫られることもあり、現場の負担になっていました。

イメージは回転寿司。ICタグで一括管理

 コンピュータ関連のメーカーに勤務し、システム構築なども手掛けていた宮本社長。出荷管理の効率化に IoT 導入を考えたのも前職での経験があってのことでした。「皿にリーダーをかざして清算する回転寿司店みたいな仕組みをつくれないか」そんな漠然としたイメージを抱えていたところ、縁あって石川県情報システム工業会(ISA)に相談する機会に恵まれ、紹介されたのが「AI・IoT を活用した業務効率化・省力支援事業」でした。

 完成したのは、出荷用の配送箱に貼り付けた無線ICタグをリーダーで読み取り、事務担当社員が入力した受注情報と照らし合わせ、相違が発生した場合は音で知らせるというシステム。仕組み自体はシンプルでソフト開発に大きな障壁はありませんでしたが、無線ICタグの選定に時間を要しました。その理由はコスト。最初想定していたものは1枚500~600円と高価で利益に見合いません。そこで、システム構築を担当したICベンダーがさまざまなメーカーをあたり、安価なシールタイプを発見。問題なくデータの読み込みができることを確認して採用し、費用を10分の1に抑えることができました。

 出荷先や商品の種類、個数などこれまで目視で確認していた情報を無線ICタグに記憶させる作業にかかったのは約1カ月。通常業務の合間に少しずつ行い、準備を進めました。

使う人にも分かりやすくが成功のカギ

 出荷作業場にハンディタイプのリーダーとノートパソコンを設置。担当者は積み上げられた商品箱の側面をなでるようにスキャナーを動かし無線ICタグを一括して読み取ります。そのデータは即座にノートパソコンの受注状況を表示するエクセル表に反映され、受注と発注の数に相違があれば音が鳴り、エクセル上に赤字で表示。その場で間違いを正すことができます。システム運用後は、出荷確認にかかっていた時間が1日60分から20分に短縮できたほか、商品のとり違いなどのヒューマンエラーはほぼゼロに。クレームに対応する人員と時間も削減。さらに、これまで限られた人しかできなかった出荷確認が誰でもできるようになり、現場の動きもよりスムーズになりました。

 IoT導入は予想していなかった効果ももたらしました。業務の省力化や効率化に消極的だった社員の意識が変わったのです。実際に使ってみてその便利さを体感した社員の中には自分の業務にエクセルを活用する動きも出てきており、今後さらにIoT化を進めていくための人材育成のスタートを切ることができました。

 今後の課題として宮本社長が挙げたのは、手間の省略とミス防止のためにあえて翌日の出荷情報だけを管理できるようにしている現行のシステムを改良し、日付ごとの管理を可能にすること。さらに、無線ICタグのリーダーを委託する運送会社にも携帯してもらい、空になった配送箱を受け取った時点で、いつ、どの箱がどのくらい戻ってくるかを把握できる体制を構築し、より効率的な出荷体制を確立することの2点。すでに生産工程の見える化にも着手しており、将来的には製品管理を作業の管理に発展させ、社員一人ひとりの成長や実績を公正な人事評価に繋げていきたいとのこと。会社の転換期への足掛かりとしても意味のある取り組みとなりました。

企業DATA

株式会社宮本製作所
住所 石川県羽咋郡宝達志水町敷波リ201
電話番号 0767-29-2422
代表者 代表取締役 宮本 敦
創業 1968年
資本金 1,000万円
従業員数 35名
事業内容 順送プレス加工及びロボットライン加工による電気部品の製造
HP https://www.isico.or.jp/virtual/vkogyo/miyamoto.html

事業概要

費用 330万円(うち補助金100万円)
準備期間 約6カ月
導入設備 QRコードハンディスキャナー2台、無線ICタグ、ノートパソコン1台、ソフト開発
石川県 石川県工業試験場 ISICO ものづくり産業等IoT化推進研究会