導入事例紹介・トピックTopic

IoT導入で業務負荷を改善
広がったデータ活用の可能性

IoTがもたらした、情報への意識変化
現状の共有が、生産性向上のカギ

 ポリエステルやナイロン糸で織物を生産する丸井織物。開発・生産する製品は、ポリエステルタフタ素材分野で国内シェアトップを占め、アスリートが着用するユニフォームとして採用されるなど品質面でも高く評価されています。培ってきた織りの技術と実績、そして次々と登場する新素材に対応しながら今日まで成長を続けてきたチャレンジ精神で、IT化やIoT導入にも日々取り組んでいます。

課 題

  • 約1000台の織機について、稼働状況の見える化を行っているが、トラブル等が発生した場合は目視での状況確認と手作業による配台計画の修正が必要だった。
  • 当初の生産計画に対して日々生じる差と納期を考慮しながら、配台計画の変更が必要となるが、担当者に負担がかかるうえ、見落としなどミス発生の恐れがあった。

効 果

  1. 生産計画と現状との差を見える化し、自動修正できるようにしたことで、確認及び変更のための作業時間を1カ月当たり15%短縮できた。
  2. ヒューマンエラーの防止ができるようになった。

繊維産業ならではの悩みIoT導入の背景

 国内合繊織物生産量の約2割を占める丸井織物。トップシェアを支える工場では、約1000台の織機が24時間稼働しています。創業時から変わらないチャレンジ精神と稼働への強いこだわりから、1986年にはコンピュータ制御技術を使って作業の自動化を行うFA(Factory Automation)を導入。早くからテクノロジーを活用し、業務効率化や生産性の向上に取り組んできました。

 このような経緯から、すでに各部門でIT化が進んでおり、工場についてもすべての織機の稼働状況をパソコン上で監視できる仕組みが整っていました。データ化された全工程の稼働状況は管理用パソコンに保管され、担当者はそれを反映させながら生産計画を立てていました。

 しかし、同じ長さの原糸でも素材や求められる品質により製造にかかる時間や完成する織物の量が増減する繊維業界では、生産計画の調整はつきもの。それに伴ってどの商品をどの織機で生産するかを決める配台計画も日々変更されるため、担当者は納品日と照らし合わせながら、日々生じる生産計画と実績の〝ズレ〟を修正し、より効率的な工程を適宜指示しなければなりません。織機の台数が多いため作業に時間がかかることや、見落としなどの人為的なミスが発生する危険性もあり、担当者の負担と生産性の両面から解決策を模索していました。さらに、人手不足が深刻化しており、業務の効率化が急務だったこともIoT導入のきっかけとなりました。

スケジューリングの一部を自動化工場の〝今〟を共有できる環境に

 生産工程の見える化は、原糸の入荷から製品の出荷までの間にある経糸整経、引き通し、製織、検査の4工程について行われており、それぞれで収集したデータは管理用パソコンに保存されています。今回、IoT導入としてITベンダーに依頼したのは、単独で存在しているデータをつなぎ活用するためのソフトウェアの開発。例えば、経糸の長さ(疋数)を修正する場合は、経糸工程の生産データとリンクさせ、配台の段取り作業時期のズレ修正には製織工程の生産データとリンクさせる。また、品番変更による経糸の長さを修正する場合は、同一品番の経糸の長さデータによる一括変更を行うといった具合に、配台計画変更時に人が経験やノウハウも含めて判断していた事柄を、各工程管理のデータを反映させることで、一部自動で行えるようにしました。

 IoT導入の結果、これまで週に1~2回修正していた配台計画は、ほぼリアルタイムでアップデートできるようになりました。納期に対する状況ごとに色分けされた配台計画は一目で現状把握が可能。担当者はもちろん工場に設置されたモニターですべての社員が閲覧できるため、正確な情報が共有できるようになり、ヒューマンエラーの抑止にも役立っています。

データへの意識改革さらなる挑戦への足がかりに

 IoT導入により、配台計画の修正作業の一部を自動化することができ、担当者が担っていた確認や変更のための作業時間が24時間(15%)削減されました。また、より正確な配台計画が立てられるようになったことで、品質管理や材料手配といった他部署の業務精度も上がりました。社内に蓄積していたビックデータをいかに結びつけるかを考え、省力化に導いた今回の取り組みは、過去の履歴という貴重な財産の活用法について考えるよい機会にもなりました。

 配台計画変更業務の自動化については、大幅な省力化が実現しました。しかし、最終的な変更を行う前に人の判断が必要となっており、完全な自動化とは言えないのが現状です。しかし、今回の挑戦で、判断基準を数値化、明確化してAIを活用し、完全な自動化を目指すという明確な目標も生まれました。働き方改革や人手不足解消へのアプローチとしても期待が寄せられています。

企業DATA

丸井織物株式会社
住所 石川県鹿島郡中能登町久乃木井部15
電話番号 0767-76-1337
代表者 代表取締役会長 宮本 徹
創業 1956年
資本金 5,718万4,000円
従業員数 300名
事業内容 合繊織物及び合繊産業資材織物製造
HP https://www.maruig.co.jp/

事業概要

費用 80万円
準備期間 6カ月
導入設備 新規導入なし、ソフトウェア開発のみ
石川県 石川県工業試験場 ISICO ものづくり産業等IoT化推進研究会