導入事例紹介・トピックTopic

IoTを活用した生産管理業務の効率化と製造工程の見える化計画

既存の機械設備をつないで
効率的なデータ活用プロセスを構築

 食品パッケージを中心に、雑貨、化粧品、医薬品といった業務用フィルム包装材の企画、印刷、加工、販売まで一貫して手掛ける賀谷セロファン。賀谷社長を中心に、企業の継続的な成長や事業継承に不可欠な取り組みとして、日ごろからITベンダーの担当者と共に展示会へ足を運ぶなど情報収集を欠かさず技術革新に注力。生産性の向上や今後一層深刻になる人手不足や働き方改革といった環境の急激な変化への対応にもテクノロジーを活用し挑んでいます。

課 題

  • 製造現場に直接出向くか内線電話でしか加工作業の進捗確認ができず、時間がかかっていた。
  • 現場で紙に手書きしたものを事務所でパソコンに入力し直すという方法で作業実績を登録していたため、担当者の負担になっていた。
  • 目視による資材の品番チェックは確認ミスが起こりやすく、ロスやクレームが年に数回発生していた。

効 果

  1. 各工程に配備したタブレット上のボタンを作業前後に押すだけで基盤システム上に進捗状況がリアルタイムで反映されるようになり、入力作業が省力化できた。
  2. 生産工程の可視化により、システムを使用できる環境があれば、どこでもリアルタイムで作業状況を確認できるようになった。
  3. 資材の入荷から出荷まですべての工程でバーコード管理を導入。取り間違いなどのヒューマンエラーが減少した。

営業活動をデジタル化しIoT導入をより効果的に

 商品の顔であると同時に、機能性や安全性、ブランド戦略を担うメディアとしての役割も求められる食品パッケージで数多くの実績を誇る賀谷セロファン。賀谷社長指揮の下、最新の設備や技術をいち早く取り入れるなどして印刷品質、衛生、環境への取り組みを継続しています。今回行ったのは、パッケージ製造の生産工程を見える化し、生産管理業務の効率化を図るためのIoT導入。その前段階として、営業用タブレットの導入も実施しました。

 同社は、富山や京都、長野にも拠点があるほか、本社の営業担当者は中京エリアまでを商圏とするため、出張に出ると一週間戻れないこともしばしば。その間、営業活動や案件進捗の管理が滞ることが常態化していました。そこで、案件管理や営業活動の記録・報告ができる営業支援ツール「SFA」の採用を検討。しかし、新しいツールを採用したことで作業が増えるだけでは本末転倒との判断から、営業活動中のすき間時間に入力できるようSIM内蔵のタブレットを支給。営業担当者の日々の行動を可視化することで、行動プロセスや進捗状況の把握、適宜アドバイスが可能になったほか、情報共有がしやすくなり商談事例を参考にし合うといった好循環も生まれました。さらに、経費の仮払いや有休休暇の申請もタブレットで可能にしたところ、県外拠点での現金取り扱い廃止、有給休暇取得率アップなど予期せぬ効果も表れました。

生産工程を可視化し、速やかな状況確認を可能に

 次にIoTシステムの核となる生産工程の見える化に着手。それまで、印刷、版替えといった各工程の稼働状況は、担当者が現場で手書きし、作業終了後に事務所へ戻り30分~1時間かけてエクセルに打ち直していたため大きな負担となっていました。そこで、稼働データを自動収集し、日報データとしても活かすことができないかと印刷機のモーターや熱源にセンサーを付けることを検討しました。しかし、すでに製造に必要な多数のセンサーが設置されていることや電源確保、メンテナンスなどの問題から難しいと判断。そこで、各工程に計14台のタブレットを配置し、作業前後に画面をタッチするだけで、無線LANでつないだ基盤システムに記録が残るようにし、機械本体に新たな機器を取り付けることなく生産実績入力業務を省力化しました。営業事務担当者→製造責任者→現場担当者を経由しなければ商品の製造状況が確認できないという環境が一変。基盤システムにアクセスできるパソコンがあれば、誰でもどこにいても即座に状況確認がきるようになりました。

 製造におけるもう一つの課題が、印刷工程でのエラー情報の共有でした。これまで、欠品検出器の高速CCDカメラによって発見されたエラー箇所の画像データは、その都度紙で出力されるのみで保存されていなかったため、次工程で処理を行う以外、クレーム対応や品質管理には活かせていませんでした。これを見直すため、印刷機械を制御している専用ソフトを会社の基盤システムにつなげる仕組みづくりを開始。印刷機械メーカーにも協力を依頼し、ITベンダーと連携して作業を進めました。

 同時に、社員からの要望で、各営業担当のタブレットから社内基幹システムに外出先からもアクセスできるようにし、生産工程の進捗やエラーデータを活用できるようにしました。これまで外出先では迅速な対応ができなかったクレームやキャンセルにもタブレットがあれば臨機応変な動きや説明ができるようになり、業務を格段に効率化することができました。

タブレットとバーコードによる簡単、確実な管理システム

 タブレットを導入し生産工程を可視化したことで、リアルタイムでの生産状況確認、ペーパーレス、実績入力作業の省力化を実現した同社。さらなる取り組みとして、取り違えなど資材に関するヒューマンエラーをなくすため、バーコードによる管理システムを導入しました。資材の入荷時に受注内容に応じたバーコードラベルを発行して貼り付け、工場内におよそ20個配置したハンディ端末を用いて出荷までの各工程で簡単に照合ができるようにしたところ、確認ミスによる取り違いが激減。ロスやクレームも減りました。

 賀谷セロファンのIoT化は、データを収集することだけに固執せず、集めたデータをどう活かすかを熟慮したことがポイント。単独の設備機械をネットワークでつなげることで基盤システムの一部とし、予想以上の成果を生んだ今回の取り組みは、勤務時間の短縮、原材料のロス削減により、年間約300万円の効果を見込めるものとなりました。さらなるIoT導入、AIの活用といった同社における今後のテクノロジー活用の可能性をさらに広げたという点でも大きな意味を持つものとなりました。

企業DATA

賀谷セロファン株式会社
住所 白山市横江町1214-4
電話番号 076-276-2344
代表者 代表取締役社長 賀谷 真尚
創業 1949年
資本金 3,000万円
従業員数 70名
事業内容 包装用資材(パッケージ)の企画・製造・販売
HP http://www.kayanet.co.jp/

事業概要

費用 800万円(うち補助金100万円)
準備期間 約3年間
導入設備 タブレット端末、バーコードリーダー、ラベルプリンター各20台
石川県 石川県工業試験場 ISICO ものづくり産業等IoT化推進研究会