導入事例紹介・トピックTopic

工場における進捗状況の
リアルタイムな情報共有

IoTがもたらした、情報への意識変化
現状の共有が、生産性向上のカギ

 創業50年を迎えるDAISEは、レーザー、孔、曲げ、溶接などの加工技術を用いた板金部品を製作。建築、半導体、医薬など幅広い業種の産業機械設計・製作も行っています。刻々と状況が変わる現場には口頭や書類では伝えきれないさまざまな情報があり、それをリアルタイムで管理、共有できないことが生産性向上への大きな課題でした。

課 題

  • 進捗状況を把握するため頻繁なミーティングや資料の配布が必要で、生産性向上の課題となっていた。

効 果

  1. いつ何をすべきか各作業者が考え、自主的に動けるようになったことで、生産性が向上した。
  2. これまで管理者だけが把握していた情報がオープンになり、社員に一体感が生まれた。
  3. 会社の新たな取り組みとその効果を社員が実感。モチベーションが向上した。

IoT導入は、業務の見直しから

 小ロット、難加工材の加工にも果敢に挑み、産業機械の設計から製作、据付やメンテナンスまで一貫して行うDAISE。1969年にスプリング、板金、プレス加工の工場として創業して以来、技術力と経験を生かし時代のニーズにいち早く応え、工作機械、医薬、半導体、建設、食品など幅広い業界に取引先を広げてきました。

 業務拡大に伴い顕著になったのが、ボトルネックの解消や作業の平準化といった生産性向上の必要性。なかでも大久保社長が問題だととらえていたのは、工場の状況をリアルタイムに把握できないことでした。IoT活用も検討していましたが、業種や業態もさまざまな先行事例をそのまま自社に取り入れる訳にはいきません。そこで、DAISEにとって最適なIoTとは何かを見極めるため、ITベンダーの担当者と共に業務の流れを見直すことから始めました。

受発注システムに情報集機能を追加

 DAISEでは20年ほど前から取り組んできたIT化によって、見積もりから納品までの受発注作業をパソコンで一括管理しています。しかし、その情報を閲覧できるのは社長のみで、社員間での共有がまったくできていませんでした。小ロット品、短納期品、難加工材の加工にも柔軟に取り組むことを掲げる同社の工場では、緊急案件が舞い込むことも多く、刻々と状況が変化します。そのため、工場を巡回しなければ正確な生産計画が立てられませんでした。情報共有のためのチームリーダーとのミーティングは1日3回。その他、計画表や受注一覧、図面を毎日プリントアウトし手渡しすることも日常でした。終わらない伝言ゲームに時間をとられるうえ、各作業者も社内全体の業務量やその優先順位が把握できず、自分がいつ何をすべきか考えて動くことができない悪循環をも生みだしていました。

 そこで、作業者が紙の指示書に作業時間を記入し、進捗確認のための半券を切って事務所で一括入力するという一連の流れを、IoTを使って改善。受発注管理システムに機能を追加する形で、工場内の各工程10カ所に超小型で安価なコンピュータ、ラズベリーパイとバーコードリーダーを設置し、作業の前後に指示書のバーコードを読み込むことでリアルタイムでの進捗情報を収集できるようにしました。

 さらに、情報を統合するためのシステムとして、各工程の作業場にモニターを設置。顧客名や納期といった生産計画を常時表示し、完了した案件は画面から消すなどして工場全体の動きを明確化したところ、各作業者の情報への意識が、指示として下りてくるものから共有するものへと変化。自分が今何をすべきか考えて行動するといった自主性も芽生え始め、工場に一体感が生まれました。

 進捗情報をリアルタイムで収集できるようになったことで、製品・工程ごとの作業時間の蓄積も可能になり、見積もりや生産計画の精度も向上。また、作業状況や実績が可視化され、各作業者に緊張感が生まれるという想像していなかった効果もありました。

効果の実感が行動につながる

 DAISEはIoTへの取り組みにより、<過去の実績>と<現在の状況>というふたつの側面を可視化し、終わりのない伝言ゲームから開放される糸口を見いだしました。ものづくりがスムーズにできるようになり、常態化していた土曜日の休日出勤が解消しつつあるなど負担の軽減を実感する一方で、生産量、売上共に維持していることが、社員にとってIoT導入の意味や生産性向上の重要性を理解する格好の実例ともなっています。大久保社長は言います「システムを入れたからといってすぐにIoT導入の成果は出ません。目的を明確にして理解することで初めて行動できるのです」。今後は、作業実績の蓄積を基にAIを活用した生産計画の策定や平準化生産の推進も展開。タブレットによる作業者との詳細情報の共有を図る計画も進んでいます。DAISEにとって今回のIoT導入は、小ロット、多品種といった特徴をさらに強化するための体制づくりだけでなく、社員の意識醸成にも効果的な取り組みだったといえます。

企業DATA

株式会社DAISE
住所 金沢市増泉5-5-22
電話番号 076-243-4200
代表者 代表取締役 大久保 龍司
創業 1969年
資本金 1,000万円
従業員数 30名
事業内容 産業用機械部品等の製造
省力化・自動化機械設計製作、ステンレス・アルミ・チタン板金溶接、産業機械カバー・フレーム製作、各種板ばね・線ばねの製造、24時間温泉システム「オンリーゆ」製造
HP http://www.kdaise.co.jp/

事業概要

費用 200万円(うち補助金100万円)
準備期間 約1年間
導入設備 ラズベリーパイ10台、バーコードリーダー10台、モニター10台
石川県 石川県工業試験場 ISICO ものづくり産業等IoT化推進研究会